会員生協探訪記 18
2011.2.11(金) 【医療生協】
医療生協の職員さんの職場研究発表会
高知医療生協の方から「毎年2月11日に職場研究を発表する会をやりゆう」と伺い、ご好意で潜り込ませていただきました。(正確には「高知民医連第27回職場研究発表会」という名称です)
開会時刻の10時になると高知城ホール4階の会場が座りきれないほどの人でいっぱい。発表会の今年のテーマは、「『医療生協の患者の権利章典』(注1)これまでとこれから!」。小野川高知民医連会長(高知生協病院院長先生)による高知医療生協での「患者の権利章典」の振り返りに続いて、パネルディスカッションでは、在宅医療、医療倫理、終末期医療、メディエーター(注2)、法律などそれぞれの立場で職員さんや弁護士さんから、「権利章典」に沿った実践と問題意識が示されました。そのあと、具体的な事例に基づきながら、患者本人の意思が確認できない状況での終末期医療で必要な配慮について、会場も参加してのディスカッションが行われました。「どう死ぬかではなく残された時間をどう豊かに生きるのか、ということを患者と家族とともに考えなければ」「リビングウィル(注3)を元気なうちから家族で確認しておくことが大切。医療生協ならではの、班会のメニューに入れては」などの意見もだされていました。
午後からの分散会では、5つに分かれて全部で49の職場研究発表が行われました。「診療所でのカルテ開示」「在宅での化学療法」「医師・看護師の確保」「事業所の独立会計」「生協病院の救急患者の受け入れの現状」「地域との介護の連携」など、医療や介護はもちろん、事務面や組合員活動まで様々なテーマでの仕事研究の成果が発表されていました。会議室は熱気でムンムン、真剣な中にも、時には爆笑も起きたりして、部外者の私にも、楽しくかつ勉強になることばかり。途中で退出するつもりだったのに、結局、最後の「まとめ」までお邪魔してしまいました。
この日の参加人数は、職員147人、組合員(支部長・理事他)31人、学生5人、合計183人。過去最高ではないかとのことでした。生協病院の事務次長上田さんは「発表は、自分たちの1年間の仕事の振り返りでもあり、ほかの職場のことを知る場でもあります。また、若い職員に症例をまとめさせ発表を体験させることで、自分の中の患者さんに向かい合う姿勢を再確認する教育機会にもなっています。」と話してくださいました。強制もしていないのに49件もの発表応募が上がってくるというのには、27年間、毎年欠かさず発表会を行ってきたという積み重ねの力を感じます。
発表会の傍聴について医療生協の専務さんにご相談した時、「いいけど、専門用語ばっかりだよ~」と心配していただきました。たしかに専門的でしたが、みなさんの実践そのものが「権利章典」の中身なのだと理解できたような気がしました。「患者の権利章典」ができて20年がたち、新たな課題が生まれてきており、医療福祉生協連のなかで見直しが進められているそうです。医療や介護、高齢者のケアは24時間休みなし、です。今この瞬間も、医療生協の中では「章典」の実践とそれをさらに深めるための職場研究が行われているのだと思います。
(S)
(注1)「医療生協の患者の権利章典」
(高知医療生協ホームページより転載)
■患者の権利と責任
患者には、闘病の主体者として、以下の権利と責任があります。
■知る権利
病名、症状(検査の結果を含む)、予後(病気の見込み)、診療計画、
処置や手術(選択の自由、その内容)、薬の名前や作用、副作用、必要な
費用などについて、納得できるまで説明を受ける権利。
■自己決定権
納得できるまで説明を受けたのち、医療従事者の提案する診療計画 などを
自分で決定する権利。
■プライバシーに関する権利
個人の秘密が守られる権利および私的なことに干渉されない権利。