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会員生協探訪記 33

2012.1.22(日) 【こうち生協】


声の商品カタログ利用者交流会

 こうち生協では、毎週、共同購入事業の商品カタログをCDに吹き込み、目の不自由な方に利用していただいています。現在の利用者は17人、吹き込みボランティアのスタッフは6人です。利用者とスタッフの交流会が開催されると聞いてお邪魔してきました。この日は、利用者と利用者のご家族、利用者のヘルパーさんをあわせて8人、スタッフ3人、生協の職員さんが2人の参加でした。

こうち生協に加入して25年になるという全盲のご夫婦は、「子どもたちも独立し、自立していきたいと思っていました。CDを聞くのに4時間ぐらいかかりますが、二人で予算を決めて商品を選んでから、電話で注文しています。」と話してくださいました。また、一人暮らしの弱視の方は、「大きなものはスーパーから持って帰るのがたいへんなので生協に頼んでいます。CDを聞いて商品の番号を控えておいてから、ネットで注文しています。」とのこと。この方は、音声カタログのなかったころは職場の人に商品カタログを読んでもらって注文していたそうです。「職場で受取をしていたときは手で持って帰れる分しか頼めなかったけれど、個人宅配にしてから本当に楽になった」とも話してくださいました。どの方も「誰かに選んでもらうのではなく、最初から自分で選んで買うことができるのが本当にうれしい」と異口同音に話されていました。また、「毎週来てくれる配達の人には、郵便で届いた封筒のものを読んでもらったり、という『ちょっと目を借りたいとき』にもお世話になっています。どの職員さんもいやな顔一つせず読んでくれるのでうれしいです」という方もいらっしゃいました。

 吹き込みしているスタッフの方からは、「一度風邪を引いて声が出なくなったことがあったので、それからはできるだけ皆さんに聞き取りやすい声の状態を保とうと心がけています」とか「実家の母の世話をしているので、私にとってカタログの吹き込みは息抜きであると同時に大切な社会参加」などという声も出ました。

 その後は主に、商品説明の読み方や音声化する範囲などについて意見交換が進みました。現在音声化されていない雑貨関係のカタログについては、利用者から「たくさんあるカタログの全部を音声化するとすごく長時間になるので聞く方も大変。でも、もしその時のカタログにどんな特集が載っているか・・・たとえば「防災グッズ特集」とか・・・がわかれば、必要なカタログだけヘルパーさんに見てもらって自分の欲しい商品を探すこともできる」という発言もあり、今後の検討事項となりました。

交流の中で、利用者の一人が、「毎週、当たり前のようにCDを聞いて利用しているが、録音しているスタッフの方の心遣いを聞かせてもらって、改めて『あたりまえのことは何事もない』と感じた」とおっしゃっていました。吹き込みのスタッフの方たちも、音声カタログをよりよいものにしていくことへの手ごたえを感じられているようでした。交流会を経て、利用者とスタッフの間の絆がさらに強くなったように感じました。

(S)