ホーム ▶ 会員生協探訪記一覧 ▶ 37 田んぼの生きもの観察会

会員生協探訪記 37

2012.7.8(日) 【コープ自然派しこく こうちセンター】


田んぼの生きもの観察会

コープ自然派しこくこうちセンターで、毎年「田んぼの生きもの観察会」を開催していると聞き、お邪魔してきました。お天気に恵まれた日曜日、コープ自然派の供給している無農薬米の田んぼに集まったのは組合員さんとその子どもたち、約30人。田んぼの生きもの調査インストラクターの谷川徹さんから、生きものを採るときのコツや田んぼに入るときの注意を聞いた後、さっそく田んぼのあちこちにいって生きものさがしをスタート。泥に入るのを嫌がる子どももいましたが、あぜ道から手の届く範囲でもいろんな生きものがいるようで、楽しそうな歓声が聞こえています。

この田んぼの持ち主の門田さんは、生きもの探しに熱中している参加者たちを少し離れたところで見守りながら、休みなく田んぼの雑草を抜いていらっしゃいました。門田さんは、農薬を使わない米作りをはじめて30年近くになるそうです。アイガモ農法なども経験したそうですが、現在はジャンボタニシで除草しているとのこと。ジャンボタニシといえば「駆除すべき外来種」だと思っていた私はちょっとびっくり。水深の管理などにより、ジャンボタニシがイネを食べずに雑草を食べるようにするそうで、たしかに、門田さんの田んぼには雑草がほとんどありません。ただし、田んぼの隅のほうには、稲も雑草も生えていない部分も少々。隅のほうは水深の調節がしにくくて、ジャンボタニシに稲を食べられてしまったのだそうです。生きものと共生する農業には、人間側の思うようにならないことも多いようです。

30分ほどして、みんなが採った生きものをトレイに集めて、谷川さんが1種類づつ説明してくれました。見つかった生き物は、ジャンボタニシやオタマジャクシ、ミズカマキリ、イトトンボやシオカラトンボのヤゴ、アマガエル、ヌマガエル、ガムシ、ミズスマシ等。最近数が減ってきているというトノサマガエルらしきものも見つかり、谷川さんが驚く一幕も。

谷川さんは、「たとえば、こんなに小さなアマガエルもたくさんの虫を食べてくれます。そしてアマガエルの繁殖には田んぼが適しています。ただの沼地と違って、天敵から守ってくれるものがあるからです。田んぼがなくなってアマガエルが減ってしまったらどうなるでしょう?きっといい結果にはなりません。いろんな生きものが暮らしている田んぼを維持するには、田んぼでお米を作る人が必要ですし、その人が作り続けるためには、そのお米を食べる人が必要です。自分たちの住んでいるエリア(水系)のお米を食べてください。それが自分たちの生態系を守ることにつながります。」と話してくださいました。

網と容器をもって、約30分、それぞれで生きもの集めをしました。
網と容器をもって、約30分、それぞれで生きもの集めをしました。
全部集めると、田んぼにはさまざまな種類の生きものがいました。
全部集めると、田んぼにはさまざまな種類の生きものがいました。
ジャンボタニシで除草した水田
ジャンボタニシで除草した水田

「毎年やっていますが、小さな子どもたちよりも親のほうが真剣。親がどれだけこういうことに関心を持っているか、ということを子どもさんが感じることが大切なんでしょうね」と話してくださったのはコープ自然派しこくの東條理事長。「生物多様性」というとちょっと難しそうですが、「田んぼの生きもの調査」を通じて、農薬を使わないお米を食べることが「自分の食の安全」だけでないということと、「そのために自分たちができること」が、それぞれの家庭でぐっと身近になったのではないでしょうか。

(S)